2012.09.01 Saturday
負債と報いー豊かさの影
アトウッドは、人類は自然からずっと借金を続けてきたけれど、いよいよその返済期限が迫ってきたと考えているようです。3・11以後の私たちにとってもこの問題は切実です。社会の豊かさを保証するかに見えた原発が、未来の世代までも抵当に入れた究極の負債であることに誰もが気づいたからです。「地獄にあるのは債務だけ。膨大な支払いがなされますが、完済することは出来ません。地獄とは果てしなく支払いが増え続けるクレジットカードみたいなものです」。アトウッドのその言葉は重く響きます。
--- 「図書」2012年9月号こぼればなしより ---
--- 「図書」2012年9月号こぼればなしより ---